子どもに絵本を読んでも、すぐに違う場所へ行ってしまう。ページをどんどんめくってしまう。そんなふうに、読み聞かせが思うように進まないことは珍しくありません。
読み聞かせは、子どもの反応に合わせて少し工夫するだけでも、絵本への興味や楽しみ方が変わることがあります。保育士として子どもたちに絵本を読んできた経験をもとに、子どもが興味を持つ読み聞かせのコツを紹介します。
絵本の読み聞かせは最後まで読むことにこだわらない

絵本の読み聞かせは、最初から最後まで読むことだけが目的ではありません。特に小さいうちは、物語を静かに聞くより、絵を見たり、ページに触れたりすることに興味を示す子もいます。
子どもの反応は十人十色です。年齢や興味に合わせて、絵本との関わり方も少しずつ変えていきましょう。
乳児期は絵本に触れることから始める
乳児期は、物語を理解して最後まで聞くことよりも、絵本そのものに触れることから始めます。膝の上で一緒に絵を見たり、気になる部分を指さしたりするだけでも十分です。
ページをめくったり、絵を触ったりするのも、絵本に興味を持っている反応のひとつ。読むことにこだわらず、親子で同じものを見ながらコミュニケーションを取る時間として楽しんでみてください。
子どもの反応に合わせて読み方を変える
静かに物語を聞く子もいれば、絵をじっくり見る子、ページを次々めくりたがる子もいます。どの楽しみ方が正しいというものではありません。
年齢が上がり、物語そのものに興味を持つようになれば、自然と最後まで聞く時間も増えてきます。そのときどきの反応に合わせて、「読ませる」のではなく、一緒に楽しめる読み方を選ぶことがポイントです。
子どもが興味を持つ絵本の読み聞かせのコツ8選

読み聞かせでは、書かれている文章をそのまま読むだけでなく、子どもの反応に合わせて少し変化をつけると楽しみ方が広がります。
家庭でも取り入れやすい8つのコツを紹介します。
1.子どもから絵が見える位置で読む
絵本を読むときは、子どもから絵がしっかり見える位置を意識しましょう。家庭なら横並びで座ったり、膝の上に座らせたりすると、絵本を近くで楽しめます。
保育士が子どもたちの正面から絵本を見せるのは、大勢に同じページを見せるためです。家庭では同じ方法にする必要はなく、親子で近くから見る方が絵や細かな部分にも目を向けられます。
距離が近いぶん、子どもが絵を指さしたり、自分でページをめくったりすることもあるでしょう。それも絵本に興味を持っている姿のひとつ。破いたり投げたりしないよう大切に扱うことを伝えながら、触れることも含めて絵本を楽しませてあげてください。
2.表紙の絵から興味を引く
絵本は、本文を開く前の表紙から楽しめます。動物や食べ物、乗り物など、見ただけで内容を想像できるものも多いです。
「何がいるかな?」「どんなお話かな?」と声をかけながら、まずは表紙を一緒に見てみましょう。
幼児期になると、内容が濃くなり、表紙だけでは想像できないストーリーへ発展する絵本もあります。そんなときは、「どんな話なんだろう」「ドキドキするね」など、子どもの気持ちに寄り添う言葉を添えるのもひとつです。
3.子どもの反応を待ちながら読む
大人が次々と文章を読んでしまうと、子どもが絵や場面を理解する前に話が進み、絵本への興味が薄れることがあります。
絵が多い場面では、「あれ、この長いのは……ゾウさんのお鼻だ!」「このお尻は誰だ?」など、絵の様子を言葉で説明してあげましょう。
子どもが指をさしたり、何か話そうとしたら、その反応に答えることで、絵本への関心を高められます。
4.擬音や繰り返しの言葉を楽しむ
「ドーン!」「ぴょーん」「ころころ」など、擬音語がある絵本は、ぜひ子どもと一緒に言葉を楽しんでみてください。声の大きさやテンポを変えるだけでなく、動きを加えるのもコツです。
例えば花火なら、下から上がっていく線を指でなぞり、「ドーン!」と音に合わせて上で手を大きく開いてみます。言葉だけでなく身振りを加えることで、子どもも真似をしながら絵本に参加できます。
慣れてきたら、子どもと一緒に「ドーン!」と言ったり、同じ動きをしたりして楽しんでみましょう。
5.同じ本を何度も読む
お気に入りの絵本は、リクエストされれば何度でも読んであげてください。 大人になると同じ内容には飽きやすく、新しい絵本を読みたくなるかもしれません。
一方、子どもは同じ絵本やアニメを何度も繰り返すのが大好きです。次に何が起こるのか分かっているからこそ、好きな場面を待ったり、物語の展開を楽しんだりできます。
見なくてもセリフが言えるほど覚えているのに、また同じものを見たがるのが子どもです。「また同じ本?」と思わず、満足するまで付き合ってあげましょう。
6.絵本はワンパターンで読む
お気に入りの絵本は、できるだけ毎回同じ読み方をしてあげましょう。 前にもお伝えした通り、子どもは繰り返しが大好きです。特にお気に入りの絵本では、好きなシーンがあり、その場面が出てくることを期待しています。
好きな場面では、毎回同じテンポや声の調子で読むのがコツです。次の展開が分かることで物語に集中しやすくなり、お気に入りの場面をより楽しめます。
7.途中で止めたりわざと間違えたりする
ワンパターンの読み方に慣れてきたら、あえて大好きなシーンで間違えたり、止まってみたりしましょう。 子どもはお気に入りの場面を待っているため、「あれ?」と一気に絵本へ意識が向きます。
好きなセリフの直前で止まったり、登場するものを違う名前で呼んだりすると、「違うよ!」「○○だよ」と自分から反応してくれることもあります。
期待していた場面をあえて崩すことで、聞くだけだった読み聞かせから、子どもが参加する時間へ変えられます。
8.読み聞かせる前に大人が一度読む
読み聞かせの最大のポイントは、子どもに読み聞かせる前に大人が一度目を通しておくことです。 保育士も初めて読む絵本は事前に確認し、途中でつかえたり、言葉を読み間違えたりしないよう練習します。
初めて読む本は、大人であってもスムーズに読めない場合があります。特に、方言や昔の言葉が含まれるお話は、読み方に迷う場面も少なくありません。
また、事前に内容を知っておけば、子どもが興味を持ちそうな場面や、抑揚をつけたいポイントも把握できます。 読みながら文章を追うだけにならず、子どもの表情や反応を見る余裕も生まれます。
子どもが興味を持つ絵本の選び方

子どもが絵本に興味を持つきっかけは、年齢や好みによって異なります。ここでは、家庭で絵本を選ぶときに意識したいポイントを紹介します。
絵本の大きさから選ぶ
絵本を選ぶときは、まず誰がメインで読むかを考えてみましょう。 大人が読み聞かせるならA4サイズほどの大きめの絵本でも構いません。
一方、子どもが一人で楽しむなら、手に持ちやすく、自分でページをめくりやすい大きさがおすすめです。読む人に合わせてサイズを選ぶと、絵本にも触れやすくなります。
好きなジャンルから選ぶ
動物や乗り物、虫、食べ物など、子どもが普段から好きなものが登場する絵本を選んでみましょう。知っているものや興味のあるものを見つけることが、絵本を見るきっかけになります。
絵が見やすいものから選ぶ
特に小さいうちは、文章の内容だけでなく、絵を見て何が起きているのか分かるものもおすすめです。登場するものが見つけやすい絵本なら、指さしや声かけをしながら一緒に楽しめます。
遊べる絵本を選ぶ
仕掛け絵本や迷路、間違い探し、音が鳴る絵本など、遊びながら楽しめるタイプもあります。「読む」ことに興味がなくても、めくる・探す・押すなどの遊びから絵本に親しめるのが魅力です。
絵本選びで失敗しやすいポイント

絵本は、人気や年齢だけで選ぶと子どもに合わないことがあります。ここでは、絵本を選ぶときに避けたいポイントを紹介します。
親の希望を優先して選ぶ
親が「勉強になるものを読ませたい」「こんなことを知ってほしい」と希望を優先しすぎると、子どもが絵本に興味を示さないことがあります。
まずは絵本そのものに興味を持ってもらうことが目的です。最初から知育性やストーリー性にこだわらず、子どもが今好きなものから選んでみましょう。
たとえば、虫に興味がない子へ成長過程を学ぶ絵本を選んだり、宇宙にまだ関心がない段階で宇宙飛行士の物語を選んだりすると、内容以前に興味を持てません。
初めてのシリーズをまとめて買う
絵本を選ぶときは、値段も気になりますよね。 絵本は1冊1,000円以上するものも多く、人気シリーズがセットで安くなっていると「まとめて買った方がお得」と感じやすいです。
しかし、評判がよいシリーズでも、子どもが興味を持つとは限りません。興味がない絵本は全く読まないこともあり、まとめ買いすると結果的に無駄になってしまいます。
初めてのシリーズは、まず1冊から試すのがおすすめです。気に入ったことを確認してから買い足せば、無駄な出費を減らしながら、子どもが本当に好きな絵本をそろえられます。
年齢だけで絵本を選ぶ
絵本を年齢だけで選ぶと、今の子どもには内容が合わないことがあります。 同じ年齢でも、長いお話を楽しめる子もいれば、絵を見ながら短い言葉を楽しむ方が合う子もいます。
少し幼い内容でも気に入って何度も読むなら、その子に合った1冊です。反対に、内容が難しすぎると物語についていけず、絵本への興味が薄れる原因になります。年齢はあくまで目安として、子どもの興味や今楽しめる内容に合わせて選びましょう。
なお、絵本を選ぶときの年齢の目安は次の通りです。
| 年齢 | 絵本の目安 |
|---|---|
| 0〜1歳頃 | 色や形がはっきりした絵、音やリズムを楽しめる絵本 |
| 2〜3歳頃 | 繰り返しの言葉や、身近なものが登場する絵本 |
| 4〜5歳頃 | 簡単なストーリーや、登場人物のやり取りを楽しめる絵本 |
| 6歳頃〜 | 少し長めの物語や、想像しながら楽しめる絵本 |
絵本選びに迷ったら図書館を利用する

どんな絵本を選べばよいか迷ったら、子どもと一緒に図書館へ行ってみましょう。 家とは違う雰囲気の中でたくさんの本を見ることで、「どれにしよう」と自分で選ぶ楽しさも味わえます。
気になった絵本は、その場で一緒に読んでみましょう。実際にページを開いて反応を見ると、好きな絵やジャンルを知るきっかけになります。
また、図書館では「静かに過ごす」「本を大切に扱う」など、公共の場でのルールに触れられるのも特徴です。本を借りるだけでなく、選ぶ・読む・過ごすまで含めて楽しめる場所として活用してみてください。
自宅でためしよみしながら絵本を探せる「絵本ナビ」
絵本ナビは、絵本や児童書、絵本キャラクターグッズを紹介・販売している国内最大級の絵本情報サイトです。年齢から探せるため、子どもに合いそうな絵本を自宅でゆっくり選べます。
8,900冊以上が一部ためしよみに対応し、2,300冊以上は1冊丸ごと全ページためしよみが可能です。 購入前に内容を確認したり、子どもと一緒に読んで反応を見たりできます。
気に入った絵本はそのまま購入でき、年齢別におすすめ作品をまとめた絵本セットもあります。さらに、ぬいぐるみやマグカップ、Tシャツ、タオルなどのキャラクターグッズや、絵本ナビオリジナル・限定商品もそろっています。
図書館へ行く時間がないときや、自宅で子どもと一緒に絵本を選びたいときは、ぜひチェックしてみてください。
おすすめ絵本|ぞうくんのさんぽ
読み聞かせで子どもと一緒に楽しみやすい絵本として、「ぞうくんのさんぽ」がおすすめです。
ぞうくんの背中に動物たちが次々と乗っていき、最後はみんなで池へ「どぼーん!」。繰り返しのある展開で内容を追いやすく、ページをめくるたびに「次はどうなる?」という楽しさがあります。
読み聞かせでは、動物を順番に重ねたり、「どぼーん!」の場面を一緒に声に出したりするのもおすすめ。絵本を聞くだけで終わらず、遊びながら物語を楽しめる1冊です。

絵本の読み聞かせに関するよくある質問

絵本の読み聞かせでは、「何歳から始める?」「最後まで聞かないときはどうする?」など、迷う場面もあります。ここでは、よくある疑問をまとめました。
Q. 絵本の読み聞かせは何歳から始めればよいですか?
A. 0歳から始めても問題ありません。乳児期は物語を最後まで聞くことより、絵を見たり、ページに触れたりしながら絵本そのものに親しむことから始めます。
Q. 絵本を最後まで聞いてくれないときはどうすればよいですか?
A. 最後まで読ませることにこだわる必要はありません。気になるページだけ見たり、途中でページをめくったりするのも、絵本に興味を持っている反応のひとつです。子どもの反応に合わせて読み方を変えてみてください。
Q. 同じ絵本ばかり読みたがっても大丈夫ですか?
A. 気に入った絵本は、何度でも読んで構いません。子どもは繰り返しを楽しむことが多く、次の展開が分かっているからこそ、好きな場面を待ちながら物語を楽しめます。
絵本とぬいぐるみを一緒に楽しんでみる

絵本は、年齢や人気だけで選ぶのではなく、子どもが何に興味を示すかを見ながら選ぶことが大切です。図書館で実際に手に取ったり、ためしよみを利用したりすると、購入前に子どもの反応を確認できます。
気に入った絵本が見つかったら、繰り返し読んだり、ぬいぐるみなどを使って遊びに広げたりしながら楽しんでみてください。
1歳の誕生日プレゼントに絵本や絵本グッズを考えている方は、こちらも参考にしてください。
